先日、ちょっとした機会があり、四国・松山にある「萬翠荘(ばんすいそう)」へ行ってきました。
1922年(大正11年)に旧松山藩主の子孫・久松定謨伯爵が別荘として建築された洋館とのこと。陸軍駐在武官としてフランス生活が長かったため、純フランス風の洋館として建てられ、昭和天皇も宿泊されるほどの社交の場だったそうです。
愛媛県ではもっとも古い鉄筋コンクリート造り、その当時の贅を尽くした内装も見どころです。
ネオルネッサンスの呼ばれる格調高い様式、建物の窓やアーチはすべて1:1.618の黄金比。
西洋建築は多くの場合、左右対称となるところを、あえて左右対称にはせず、日本人の美意識を加えてアンバランスにしているそうです。
屋根の頂部には緑青の銅板で縁取られています。
入り口の扉や床の内装材。
各部屋のドアの上部にはそれぞれの部屋ごとにステンドグラス。
白を基調とした天井のモールディングも美しい。これはきっと石膏ですね。
ところどころに金彩も施され。
暖炉は重厚な大理石。
圧巻なのは階段の吹き抜け部分にあるステンドグラス装飾。正面の部屋のソファに座って見ると船が航海しているように見えるとか。
そんな粋な計らい、好きです。
階段の手すりはチーク材。彫装飾を施すには硬い木なので技術を要したそう。
外周には家紋をモチーフに組み込んだ縁の下の通気口。
戦争を経験した日本、その歴史とともに健在している西洋建築は奇跡的なことなのかもしれません。
松山は夏目漱石、正岡子規、そして司馬遼太郎など、縁ある歴史を紐解くと面白い場所です。
もう少し学びなおしてから、またゆっくり訪れてみたい場所になりました。
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